母の認知症

私が、今住んでいるところはどこ?

この質問をし始めるとき、大抵は怒りが爆発する前の、不安定な感情が満ちてくる

時間です。

とにかく、自分が置かれている状況が分からない

何が何だか分からないのに

何を聞いても、誰もわかるように言ってくれない

そんな風に、言い始めます

不安で不安で、仕方ない

傍にいる人すべてが自分には理解できない言葉を話していると感じるようです

 

だから、できるだけ丁寧に、ノートに今住んでいるところを(町の名前)を

書いて、説明します

誰と住んでいるの?

あの人は誰?(自分の夫が分からない)

ここは施設でしょ?

早く帰りたい、、、、と続きます

 

そのうちに私は、彼女にとって意地悪な人と思われ

きつい言葉が飛んできます

 

そこで、めげてはいけませんが

戦ってもいけません

 

その苦しい時間を何とかやり過ごす、放置する(無視するわけではないけれど、そっとしておく)

 

本当は、のどが渇いているのかもしれないし

お腹が空いているのかもしれない

気温が高すぎで、イライラしているのかもしれない

体調が悪いのかもしれない

いろんな状況を、考えて少しでも快適な時間と空間を

共有するようにしています

 

理屈じゃなくて感覚を大切にして

彼女のおかれている状況を推測します

暑苦しく、そばにいるのではなくて、

そっと、そこに、たじろがず、怒らず、動揺せず、居よう

 

声をかけるのが、逆効果の時もある

ただ、空気のように存在して、彼女が話しかけてきたら

うなづくだけ

彼女が笑ったら、それにこたえて同じ程度に笑う

 

そんな風に過ごす日があります